英語は話せる、でも友達ができない|帰国子女が抱える見えない苦しみ

「英語がペラペラでかっこいい」
「海外経験があってうらやましい」
「特別な子」

帰国子女に対して、そんなイメージを持つ人は多いかもしれません。
たしかに海外での経験は貴重で、視野が広がる一方、日本に帰ってきたあとに待っている「見えない壁」に苦しむ帰国子女は少なくありません。

JIN

実際、ぼく自身も帰国子女として日本の学校に編入し、馴染めなかった経験があります。

本記事では、帰国子女の「表からは見えにくい苦しみ」について、実体験や周囲の同じ帰国子女の友人の様子を元に書いています。

すべての帰国子女に当てはまるわけではありませんが、もしご自身のお子さんがこれから帰国予定であったり、すでに馴染めずに悩んでいたりするなら、この記事が親としての理解とサポートを深めるヒントになれば嬉しいです。


目次

帰国子女が抱える「日本の学校への違和感」

海外でのびのびと学んできた子どもたちにとって、日本の学校は文化的にも心理的にも大きなギャップがあります。

  • 自由な発言より「空気を読む」ことが大切にされる
  • 授業中の発言も周囲の目を気にする必要がある
  • 制服、集団行動、黙って並ぶ習慣などが多い

たとえば、授業中に手を挙げて意見を言うのが当たり前だった環境から来た子は、日本の学校で「積極的すぎて浮いてる」と受け取られてしまうことがあります。

さらに、文化的な行事や給食、掃除、委員会など「独特な集団文化」に対して戸惑いを感じる子も少なくありません。


「友達ができない」現実と、その理由

帰国子女=社交的、というイメージがあるかもしれませんが、実際には日本語での雑談力や距離感の取り方に苦戦し、なかなか友達ができないケースも多いと感じます。

  • 話し言葉のスピードや言い回しについていけない
  • 流行語やアニメ、芸能人の話題についていけない
  • 自分の話をしても「なんか自慢してるみたい」と誤解される

こうした小さなズレが積み重なり、「話しかけても反応が薄い」「なんか違う」と距離を置かれる原因になります。

本人としては、努力して馴染もうとしていても、周囲の子どもたちの中で「なんとなく違う存在」として認識されることで、孤立が始まってしまうのです。


見過ごされがちな「静かなイジメ」——“違い”が排除される理由

▶「違う」というだけで、子どもは排除することがある

帰国子女が受けるイジメには、大人の目に触れにくい“静かな排除”が多くあります。
特に、「自分たちとは違う」と感じさせる要素があると、子どもたちは無意識に“異物”として扱い始めます。

たとえば、日本語は話せるけれど語彙が少なく、言いたいことがうまく伝えられない。授業中に簡単な漢字が読めず、苦笑いされる。そんな場面が繰り返されると、「あの子はちょっと変だよね」というレッテルが貼られてしまうことがあります。

一方で、英語の授業になると、何の苦労もしていないように見えていつも満点。先生からも褒められ、「すごいね!ネイティブみたい」と言われる。
これが同級生の中には、「ズルい」「自分だけ得してる」といった妬みの感情を生むことがあります。

JIN

かつて、テレビのバラエティ番組で、帰国子女の役を演じるお笑い芸人が、英語の授業中に帰国子女風の教科書の読み方をするコントで笑いをとっていました。
これは実際にある話で、カタカナ読みの発音しかできない日本人からすると、「笑いのネタ=バカにする」に繋がります。

ワンナイ 帰国子女リサコ

▶ 周囲の“違和感”が“いじめ”へと変わるまで

最初はただの“距離感”だったものが、「話しかけない」「グループに入れない」「陰口を言う」といった行動に変わっていくのに、それほど時間はかかりません。

こうした排除の空気は、言葉にされないぶん気づかれにくく、教師や親が見落としがちです。
本人も「何か悪いことをしたわけじゃないのに」と戸惑いながらも、「自分が変だからだ」と自責の念を抱えがちになります。

▶ “得意”が裏目に出る。だからこそ苦しい

帰国子女の多くは、英語が得意です。けれど、それが理由でいじめられるとは誰も思わないかもしれません。

でも現実には、「苦労して英語を勉強しているのに、あの子は何もしなくてもできる」「ずるい」といった感情が周囲に渦巻きます。

こうして、「英語ができること」すら本人にとってはプレッシャーや孤独の原因になってしまうのです。

▶ 大人が見逃してはいけない「静かなサイン」

・休み時間に一人でいることが多い
・話しかけると一瞬戸惑った表情をする
・「学校どうだった?」と聞くと話を濁す
・帰宅後、疲れたような顔をしている

こうしたささいなサインこそが、心が疲れている証拠かもしれません。

本人のがんばりだけではどうにもできない孤立や違和感に対して、大人が適切なサポートや理解を示すことが重要です。そして、それ以上に大切なのが——「帰国前からできる“備え”」です。


日本の学校に馴染むために、帰国前からできること

日本に帰国した際に、もっとも理想的なのはまずは子どもを「国際クラス(帰国子女専用クラス)」のある学校に入れることです。

こうしたクラスでは、同じようなバックグラウンドを持つ生徒たちが集まり、英語・日本語の両面でサポートが受けられるため、子どもが感じるカルチャーショックを最小限に抑えることができます。

最近は国際バカロレア(IB)対応校や、帰国子女枠を設けている公立・私立の中学校・高校が都市部を中心に増えてききています。しかし、地方では選択肢が限られていたり、都心でも倍率が高く必ずしも入れるとは限らなかったりと、実際の進学にはハードルがあるのも現実です。

だからこそ、こうした「理想的な環境」に入れなかった場合も見据えて、海外在住中からできる備えが重要になってきます。

▶ “帰ってから”では遅い? 日本人社会への「予習」の必要性

日本の学校や社会には、独特のルールや空気感があります。

  • 先輩後輩の上下関係
  • 多数派に合わせる同調圧力
  • 協調性や空気を読む力が重視される
  • 目立つ=悪目立ちになるリスク

こうした文化は、実際に体験しないと理解しにくいものです。
だからこそ、帰国してからいきなり馴染もうとするのではなく、事前に“日本の学校”を知る経験を積んでおくことが、精神的な衝撃や孤独感を減らす上で非常に有効です。

JIN

日本育ちだと日本の学校の独特なルールはもはや当たり前すぎて気付きもしないが、帰国直後の子供にとっては違和感を感じるものになります

▶ 日本語補習校の活用:言語だけでなく“空気感”にも慣れる

海外在住中でも、週末に通える日本語補習校に参加することで、読み書きだけでなく、日本の学校独特のスタイルを少しずつ体験できます。

  • 基本的な漢字や日本語の読解力を強化
  • 授業中の立ち振る舞いや話し方に慣れる
  • 同じような境遇の友達と出会える安心感
  • 日本的な“間”や“配慮”の感覚をつかめる

▶ オンライン家庭教師の受講を通して自然な日本語を向上させる

海外在住の子どもにとって、日本語補習校に通うのが難しいケースも多くあります。
そんなときにおすすめなのが、オンライン家庭教師の活用です。

「オンライン家庭教師=ガッツリ勉強」というイメージを持たれがちですが、実際はもっと気軽に、先生と会話を楽しみながらリラックスして学ぶことも可能です。

家庭内での会話だけでは、子どもの日本語力の向上には限界があります。独特な言い回しやクセも直りにくく、自然な日本語が身につきにくい傾向があります。

JIN

実際、ぼく自身も子どもの頃は家庭内で日本語を使っていたが、今思えばかなり不自然な日本語を話していたと思います。

帰国子女の日本語教育において大切なのは、家族以外の人と日本語でやり取りする機会を持つこと。
第三者と話す経験を通して、子どもはより実践的な日本語の会話力を身につけ、短期間で飛躍的にレベルアップします。

オンライン家庭教師は、海外にいながらでもプロの先生と日本語でしっかりと会話できる貴重な手段です。
自然な日本語を身につけたい」「将来、日本の学校にスムーズに適応してほしい」と考えているご家庭にとって、オンライン家庭教師の利用はとても価値ある選択肢であり、将来的に「日本語をオンラインで学んでおいて本当に良かった」と感じる日が来るはずです。

JIN

我が家が実際に体験してみてよかったオンライン家庭教師はこちら👇

マナリンク:公式サイト(https://manalink.jp/

– 海外子女・帰国子女コースあり
– 海外在住プロ講師、多数在籍
– 講師自己紹介動画で雰囲気が確認可

まなぶてらす:公式サイト(https://www.manatera.com/

– 海外在住講師、多数在籍
– 帰国子女受験対策にも対応
– 講師自身が設定しているコースを選択


▶ 一時帰国中の「体験入学」で実際の学校を経験する

夏休みや年末年始などの一時帰国のタイミングで、日本の学校に短期体験入学をするのも非常に有効。

  • 制服を着る
  • 給食を食べる
  • 学級会に参加する
  • 体育や音楽なども体験できる

こうした体験を事前にすることで、帰国後に「何もかも初めて」という不安が和らぎます。

JIN

息子にも一時帰国時にこの体験入学をさせていました。
授業はさっぱり理解できなかったと言っていましたが、楽しめたようです。


【まとめ】“帰国”はゴールではなく、再スタート。その準備を家族で

帰国子女の適応には、本人の努力だけでなく、家族や周囲の大人の理解と備えが欠かせません。

  • 「違いがあること」は悪いことではない
  • でも、「違いを理由に排除される社会」があることも事実
  • だからこそ、その社会を“知った上で戻る”ことが大切

補習校、体験入学、そして家庭での会話。
どれも「完璧な準備」にはなりませんが、「心のクッション」にはなります。

子どもが「ただ英語ができる子」ではなく、自分らしさを守りながら日本社会に溶け込める子になるように——親としてできるサポートは、たくさんあります。

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